「ゼロ・ダーク・サーティ」インプレッション
話を見た印象だけで語ると執念の女がビン・ラディンを探し続けて、最後のキッカケを与えたということだけは間違いない。ところが冒頭からラストまで彼女のキャラクターは何となく分かるものの、なぜそうなったのかはよく分からない。そこを掘り下げない映画なのだ。
でも、映画として面白くないかというとそんなことはない。ずっと目が離せないし、クライマックスの作戦はストレス満載だけど盛り上がり、見事に術中にはまってしまった。
映画の中では彼女がどうしてこうなったのか、そもそもどうしてCIAにやってきたのか興味はあるのだけど、そういったことは描かれない。身の危険や仲間の死をも乗り越えた常軌を逸した執念、拷問に目を背けながらも拷問を否定せずむしろ追い詰めようとする敵にとっては冷血な女。とは言ってもどこにでも居そうな感じすらする普段の振る舞いが、逆にオカシイ感じを植え付けてくれる。
だからかもしれないが、彼女を通して何を描きたかったのかは今も判らない。この物語が終わっても、テロは消えないし、全てが解決するわけじゃない。アメリカの二面性や傲慢を描いているとまではいえないし、テロ組織の何かを描いた物でもない。ある女のただ瞬間的なシアワセに至るプロセスを味わうだけの映画なのだ。
そして最後、シアワセは長く続かず、主人公の彼女は人生最大の目標を失って、生きていく目的すら見失っている。
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