「ガッチャマン」インプレッション
ただの凡作で騒がれもしないだろうが。
「ガッチャマン」は放映当、テレビアニメとしては考えられない凄い映像を作っていたし、要所でのドラマが面白かったこともあって、いわゆる「アニメ」の勃興期に高い評価を得ていた。そのため特別視する向きも強い。
それにどうしても制作者側に見通しの甘さを感じてしまうのだ。
たとえば、こんな絵空事の場合は特に心地よく騙されてもらうために、リアリティの作り込みをしないと騙されにくい。あるいは徹底的に違う世界にした方が紛れると思う。けど、そういう配慮はこの映画には感じられなかった。
真意は分からない。でも観ている方を馬鹿にしているのか?と思うようなことも散見されて、そう思いたくなる。
冒頭のISO本部強襲。陽動に訓練されたプロがそろいもそろって騙されたり、(そもそも瞬間に物を移送できるのに、わざわざ中野あたりから、地面走って、新宿副都心へ向かう。)あれだけの科学力を持った敵、しかも幹部級の人間の投降を(科学的精査をするそぶりさえなく)見かけだけで判断したり、最後の大幹部の秘密に至る事実はずっと前に公知になっている事実(わざわざそのためのシーンを作ってる)なのに、大げさに驚愕してみたり、色々がっかりする。
大体、世界の大半をギャラクターに奪われた状況で、あんな巨大な人工衛星が飛ばせると言うことも含めて、ひどい世界観で、ずっこけた。
東映の「スーパーヒーロー大戦」だとその辺は許せそうな気がするのだが、なまじっか少し高い年齢層を狙ってそうに見えるこの作品だと、興ざめだ。
この辺はそんなにお金かけなくとも気をつけるだけで出来ることのように思う。やらなかったのは脚本の練りが足りないんだろうなと思う。(これは脚本家だけの責任ではない)
それから妙なオマージュシーンがあるのがまたカチンと来る。
宣伝でも出ている「実体も見せず、忍び寄る白いカゲが」という台詞の「が」が余計だと思った人は多いだろう。実は今作ではこの台詞は何の効果もない。そんなシーンはない。その直後のタツノコグッズの中での戦いもそう。こんなので、観客が喜ぶニヤッとすると思う浅はかな配慮ががっかり感を増幅させる。
古参のファンならば、そんなことよりも、たとえばバードミサイルを撃つのに、皆が色めき立って躊躇する理由があるというような作り込みがされていたり、今作では採用されていなかったが、当時の子供にもしょぼい感じ頭を抱えさせられた「竜巻ファイター」が現代解釈で凄くかっこいい映像になったりとか、火の鳥もあんな出方じゃなく、偶然でも最後の切り札として使ったりした方が、訴えるものがあったはずだ。
製作の内情は知らない。予算が少なくて、期間が足りなくて、色々台所事情もあるかもしれない。けどそれを観る人におっ被せるのは全くオカシイ話で、勘弁して欲しいところだ。
とはいえ、アクションはエクストリームマーシャルアーツを取り入れたワイヤーアクションを中心に頑張ってたし、白組の巨大メカ描写がカメラワークとともにレスキューフォースシリーズ以降代わり映えしないなぁと思いながらも、まあ映画らしさは出してたと思うし、それなりの所はあるんだけどなぁ。
ああ、でもタートルキングのオマージュと思われるメカは、巨大なのにアニメのタートルキングの巨大感に負けてるのはどうしてなんだと思っちゃうんだよなぁ。
でも、一番可哀想なのは放映前に「おはよう科学忍者隊」の上映が入ることだ。あれは何がしたかったんだろう?誰も止めなかったのか?
スタッフのせいなのか誰のせいなのか知らないけど。
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